マラウイ政府は、ユニセフ(国連児童基金)と乳幼児のHIV検査の日数を短縮する費用対効果の高い方法を探るため、無人航空機(ドローン)の利用実験をスタートさせました。模擬的な血液サンプルを用いたこの実験は、もし成功すればこれまでの検査待ち時間を飛躍的に削減する可能性があります。今後、道路輸送やテキストメッセージなど他の仕組みと並んで、新たな保健システムが誕生するかも知れません。
世界初ドローンで血液を運ぶ実験始まる!!
今回の試験飛行は、費用や安全性を含めた実用化の可能性を評価する目的で、3月18日まで続けられました。最初の試験飛行は、コミュニティの保健センターからカムズ中央病院の研究所まで10キロのルートでした。住民も、ドローンが離陸して病院の方角に飛び立っていくのを見守り、無事成功しました。ドローンは、これまで調査や災害の評価などには使用されたことがありますが、アフリカでHIV関連のサービス向上のために利用されるのは、今回が初めてとなります。
ドローンの飛行は、専ら輸送のために設計され、実験に使用されているドローンを製作したアメリカの民間企業マターネット(Matternet)の支援によって行われました。試験飛行の後、陸路輸送との費用の比較が行われます。もし結果が良好ならば、第二段階ではマラウィの遠隔地からの試験飛行を行う予定になっています。
マラウイのHIVの現状とは!?
マラウイは、国全体でのHIV罹患率が10パーセントと、いまだ世界で最も高い水準にあります。2013年時点で、推定100万人のマラウイの人々がHIVと共に生きており、同年4万8,000人がHIVに関連した疾患で命を落としました。今日では90パーセントの妊婦が自身のHIV感染状況を認識しているなど進展も見られていますが、いまだ乳幼児が検査や治療を受けられていないケースがあります。
ドローンで子どもたちの命を救えるか!?
マラウイでは毎年約1万人の子どもたちがHIV/エイズによって命を落としています。このような子どもたちへの質の高いケアは早期診断にかかっており、それには乾燥した血液サンプルを検査のために保健センターから中央の研究所に送る必要があります。現在、血液サンプルを保健センターから研究所に送るまで平均11日、結果が送り返されるまで最長8週間を要しています。検査から結果通達までの期間が長くなればなるほど、患者が治療を受けられなくなる率は高まるのです。
ドローンが輸送時間を短縮の実現することで、治療を必要とする子どもたちに早く治療を開始するための解決策の一つとなる可能性を秘めています。
記事提供元:PR TIMES