A-GOAL、アフリカ最大のスラムで子どものサッカーリーグトライアルを開始!キベラスラム中継イベントも開催

スポーツでアフリカと日本をつなぎ持続可能な社会を目指す一般社団法人A-GOALは10月8日、アフリカ最大のスラム、ナイロビ、キベラで子どもたちのためのサッカーリーグ「キベラA-GOALリーグトライアル」を開催しました。

U-9(9歳以下)、U-11、U-13の3つのカテゴリーに分かれた子どもたち約700人がこれから3カ月、熱戦を繰り広げます。キベラスラムの地域社会組織、アガペ・ホープ・フォー・キベラ(アガペ)の代表で、リーグの運営に当たるコリンズ・オリドさんは「スラムでは希望が見出しにくい。サッカーリーグを通じて子どもたちに夢を与えたい」と意気込みます。

48チーム、700人が参加

「子どもは情熱をもってプレーしていた」

コリンズさんがこう語る通り、キベラA-GOALリーグトライアルの開幕戦となった10月8日と9日、子どもは全力プレーを見せてくれました。ボールに密集するいわゆる”団子サッカー”にはならず、フィールドを大きく使てボールを展開。パスを回しながらゴールを目指しました。時には身体を張ってボールを競り合いうことも。ゴールを決めたときはチーム全体で喜びを分かち合いました。

日頃から指導をするコーチたちもエキサイト。ベンチから声を張り上げて指示を出していました。開幕戦に参加したサッカークラブ「コリンチャス」のコーチ、アフマッドさんは

「このリーグ戦が子どもたちにとって初めての対外試合。企画してくれて本当にありがとう」

と感謝します。

盛り上がったのは子どもたちやコーチだけではありません。子どもたちの親もです。リーグの開幕戦に集まった観客は2日間で計500人ほど。多くが子どもたちの親です。グラウンドの横から、わが子のプレーに声援を送っていました。

アガペの共同代表でサッカーコーチのケン・アモロさんは「子どもたちだけでなく、親たちが『次の試合はいつあるんだ?』と聞いてくるよ」と、うれしそうに語ります。

大番狂わせ

一番盛り上がったのは、キベラゴールデン対アデ・レディースの試合です。アデ・レディースは文字通り女子チーム。そのアデ・レディースが男子チームであるキベラゴールデンを3対1で破ったのです。女の子は大喜び、男の子たちは悔し涙を流しました。

今回のキベラA-GOALリーグに参加するチームは48チーム、そのほとんどが男子のチームです。女子のチームは3チームしかありません。

キベラには男子チームは多くありますが、女子のチームは数えるほど。ケニアには「女性は弱くサッカーはできない」といった固定概念がまだあるからです。

コリンズさんやケンさんは当初、女子のカテゴリーを作ろうとしましたが、チームが集まらず断念しました。今回は16歳以下の女の子がチームを作り、U-13の男子の試合に出場しています。

そのチームのひとつであるアデ・レディースが男子チームに勝ったのです。今後、リーグの台風の目になること間違いありません。

「キベラでリーグ戦を続けて女子選手が活躍すれば、おのずと女子チームが増えてくる。そしたら将来、女子のカテゴリーも作れるはず。リーグを開催することは、女の子がスポーツをすることにつながる」

コリンズさんは、リーグの意義をこう語ります。

子どもたちの未来を変える!

開幕を迎えたキベラA-GOALリーグトライアル。目的はずばり「子どもたちの未来を変えること」です。

キベラはアフリカ最大のスラム。皇居2つ分の面積の中に100万人以上が住んでいるといわれます。人々は貧しく、その日暮らしの生活を強いられています。

そんな中で育った子どもたちは、将来に対して希望を持ちにくいとコリンズさんは言います。勉強したくても進学できない。働きたくても仕事がない。結果、お酒や麻薬におぼれてしまう子どもたちも少なくありません。

キベラリーグのひとつの狙いは、お酒や麻薬から子どもたちを引き離すことです。サッカーをしてストレスを発散し、ギャングや不良たちと群がる時間を減らす。これが子どもたちを犯罪から守る有効な手立てなのです。

またサッカーをすることで技術だけでなく、協力すること、努力すること、ルールを順守することなどのライフスキルを身につけることができます。実際、リーグに参加した子どもたちは審判の指示に従い、仲間と協力しながらゴールを目指していました。この積み重ねが、子どもたちの成長につながります。

サッカーリーグは、またサッカーの才能を見つけるショーケースにもなります。ケンさんやコリンズさんはリーグ戦にセカンダリースクール(日本の高校にあたる)のサッカーコーチを招待し、潜在能力のある子どもたちのリクルートの場にする予定です。

もしサッカーの才能が認められれば、子どもは奨学金を得て、セカンダリースクールに進学。学業を続けられると同時に、プロサッカー選手になるという夢の第一歩を踏み出すことができます。

「スラムの子どもたちにサッカー選手になるという夢を与えたい」

ケニアのプロサッカーリーグのトップカテゴリーであるケニアプレミアリーグで活躍したケンさん。少しでも多くのスラムの子どもが、サッカーで生きていけるようにと強く願っています。

継続的なサポートで継続的なリーグ運営を!

キベラではかつて、子どもたちのためのサッカーリーグがありました。ジェセ・ウェレ選手など、キベラのリーグからケニア代表になったサッカー選手もいます。

しかし10年前にリーグは打ち切り。グラウンドのレンタル料を払えないというのが理由でした。以降、お金持ちの子どもたちが所属するチームとの試合や週末のトーナメント戦など、不定期での試合はありましたが、数カ月に及ぶ長期のリーグ戦はキベラでは開催されていません。

そんなキベラスラムの人達にとって、キベラA-GOALリーグは待ちに待ったリーグ戦なのです。

「キベラでサッカーリーグが成功すれば、カワングワレやコロコチョなどナイロビの他のスラムでもリーグが始まるはず。そうすれば、ナイロビの全スラムを巻き込んだプレーオフもできる」

コリンズさんもA-GOALリーグの将来をこう語ります。

 

ですが今回のリーグ戦はあくまでトライアル。来年以降、継続できるかはわかりません。

A-GOALはそこでリーグ選の継続的に開催するために、10月10日からマンスリーサポーターの募集を始めました。

月々の寄付500円からマンスリーサポーターになることができます。マンスリーサポーターになれば、月に1度のメールマガジンを受け取れたり、フェイスブックコミュニティー「A-GOALサポーターズ」に入ることができます。

継続的な寄付による継続的なリーグ運営へ。A-GOALの発起人、岸卓巨(たくみ)さんは「サッカーを通して子どもたちが貧困から抜け出すサポートがしたい。そのためには、定期的に試合ができるリーグ戦をスラムに根付かせる必要がある」と意気込みます。

マンスリーサポーター募集キャンペーン実施中

A-GOALでは、来年から正式に継続的なリーグ戦を開催するためにマンスリーサポーターを募集しています。

キベラスラムからの中継イベント開催

 10月29日には、キベラスラムとオンラインで中継を繋ぎ、リーグに参加する子どもたちの生活にリアルに触れることができるイベントを開催いたします。

『キベラスラムオンラインツアー!リーグに参加している子どもたちってどんな生活しているの?』

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