日本人のアフリカでの活動といえば、ボランティアを想起する人が多いでしょう。しかし対価のない協力はお金が尽きれば終わってしまう可能性が高いです。
真にアフリカを含めた開発途上国のためを思うならサステナビリティ(持続可能性)のある開発をすべきです。
原健太氏はケニアで研究を行うために、2018年からケニアに関わってきました。
その当時は、研究という視点から現地の課題を見つめてきました。
しかし、研究だけではその社会課題の解決に十分にアプローチすることができないと感じ、博士課程2年生の時に、AfricaScanという予防医療を行っている会社にジョインして、現地の代表として医療の課題にアプローチしてきました。
その後、すぐにコロナが来てしまい日本での活動を余儀なくされましたが、それから約2年経ち、現地の医療従事者のスキル向上に向けた医療教育サービスを提供することを決めました。
その運営母体となるのが、原氏が創業したAA Health Dynamicsという会社です。
プロフィール
原健太(はら・けんた):東京農業大学大学院修士課程(国際農業開発学)を卒業後、同大学にて助手として勤務。2014年にJICA青年海外協力隊として野菜を通じたヘルスプロモーションを行うためサモア独立国に赴任。帰国後は、立命館大学にて、大学リサーチアドミニストレーター(URA)として知的財産管理、新規事業開発、プロジェクトマネジメントに従事。大阪大学・立命館大学リーンローンチパッドプログラム修了。同プログラムのメンターとして参画。東京大学ischool(デザイン思考)アドバンスド・ファシリテータープログラム修了。ソーシャルマーケティングを行う『AfricaScan』のゼネラルマネージャーとして、ケニア・東アフリカの医療課題の解決や健康増進に関わり、AA Health Dynamics株式会社を設立。アフリカ・アジアのヘルスケア課題の解決を日本のパートナー、テクノロジーと共に目指します。
食と健康の関係を研究した学生時代
原氏は白衣姿で仕事をする研究者に憧れ、東京農業大学アクアバイオ学科に進学します。
大学では人の食が肉体の筋肉に与える影響に興味を持ち研究しました。そのまま大学院に進んで研究を続けることに迷いはありませんでした。
大学院では人間の筋肉の発達にヤム芋がどのような効果があるか、研究しました。
研究の結果、ヤム芋は確かに人間の筋肉痛を軽減させ、より強度の高いトレーニングを可能にする効果があるとわかりました。
この頃から食べ物と人間の健康との結びつきに深い関心を持つようになりました。
そんなときに、「ヤム芋の栽培をしているパプアニューギニアに行ってその様子を直接見てきたらどうか」という教授の一言で、パプアニューギニアに2週間行くことになりました。
パプアニューギニアで現地人が足をけがした際に、原氏がたまたま持っていた100円均一のオキシドールをおじさんの足にかけ消毒しました。すると全く腫れがなく完治し「お前が持ってきたのは魔法の薬だ!」と驚かれます。
本当にちょっとしたことで、人々の生活に大きなプラスを生み出せる事に気が付いたこの体験は強烈に脳内に残りました。
この体験をきっかけに発展途上国の健康課題に強い意識を向けるようになったといいます。
その後JICAの青年海外協力隊に参加し、サモア独立国へと赴任します。
野菜栽培を通じてサモアの健康に寄与することを目指し、国内10か所の病院の近くに野菜畑を作る活動をしました。
現地での活動を通して、原氏はサステナビリティの視点が欠けていることに気付きます。
このとき感じたのは、現地の人々にきちんとインセンティブを与えれば、正しい振る舞いをするようになるという洞察でした。
そのために必要なのはビジネスの視点ではないか⋯⋯原氏はそんな課題を感じながら日本へと帰国します。
日本帰国後はビジネスについてアカデミックな視点から学ぶため、立命館大学でURA(University Research Administrator)に就き、産学連携プロジェクトに従事しました。
その後、国連大学のグローバルリーダーシッププログラムの奨学金をもらい博士課程に進みます。そこでは、現地の農家の人たちが生活習慣病になってしまう要因を深く調査・研究していました。
世界の医療技術とアフリカの人材育成の架け橋に!
ケニアの友人の紹介により、アフリカでヘルスケア・マーケティングを行うAfricaScanという企業へとジョインします。
AfricaScanでは、予防医療のワークショップやウェビナーを通じて、患者の健康に対する意識を変えることで、健康的な振る舞いへと導く取り組みをしています。
AfricaScanに原氏が着任した2020年前半では事業として上手くいかないところもありましたが、2020年後半から少しずつ案件が取れるようになり、創業以来赤字だった会社を黒字化して事業を復活させることに成功しました。
そして、AfricaScanの事業を活用し拡大させるために設立したのが「AA Health Dynamics」です。
AA Health Dynamicsでは、日本の技術や知識を上手く現地の医療関係者に届けることで、医師一人ひとりの生産性を向上させることを目指しています。
医療教育のこれからの挑戦
現地の医療関係者と繋がることは日本企業にとってもメリットがある話です。内需が頭打ちとなる中、アフリカという新規市場に進出したい日本企業は数多くいるでしょう。
原氏はこれまでのべ10,000人の医師へと医療教育プログラムを提供しています。
これらを通じて我々には現地の医療関係者のリアル・インサイトという一次情報が集まっています。アフリカに進出をしたい日本企業にとっては非常に有益なものとなるでしょう。
日本企業向けのウェビナーやワークショップを日々開催し、確かな手応えを感じています。我々としては、現地の生活者と医療関係者、日本企業が三方よしとなる形で持続可能的に事業を展開しているため、現地の課題に中長期的に取り組む基盤が整っています。
これからの使命は、事業をスケールさせ持続可能な形で事業を継続していくことです。
少しでも原代表のやっていることに興味・関心を覚えた方は、ぜひ「いいね」や「フォロー」をしてくださいね。
これからも継続的に情報発信を続けていきます。
- AA Health Dynamics社HP:https://www.aa-healthdynamics.com/