児童婚、世界で6億4,000万人。サハラ以南アフリカは全体の20%、世界で2番目の多さ!

ユニセフ(国連児童基金)が5月3日に発表した新しい報告書によると、児童婚*は過去10年間に着実に減少しているにもかかわらず、紛争や気候ショック、今も続く新型コロナウイルス感染症の影響など複数の危機の影響を受けやすい状況にあります。

このままでは、これまで苦難の中でも成し遂げた成果が無となる恐れがあります。

(*児童婚:男女問わず、18歳未満での結婚を指す)

8歳の時、牛40頭とヤギ10頭と引き換えに、両親に結婚をさせられそうになり、家から逃げ出した14歳のモニカさん。アムダット州の女子小学校で、避難生活をしながら勉強を続けられている。(ウガンダ、2023年2月撮影) © UNICEF_UN0792788_Ti

SDGs達成に程遠い、児童婚の現実

今回の分析で用いた最新の世界的な推計によると、現在生存している推定6億4,000万人の女の子と女性が、18歳未満で結婚しました。

これは1年あたり1,200万人の女の子が18歳未満で結婚していることになります。

18歳未満で結婚した女性の割合は、5年前に発表された前回の推定値と比較すると、21%から19%に減少しています。

しかし、このような進展にもかかわらず、2030年までに児童婚をなくすというSDGsのターゲットを達成するためには、世界の児童婚の減少が今の20倍以上の速度で進む必要があります。

サブサハラ地域では増加の懸念も

学費のために15歳の時に結婚し、子ども2人を出産した20歳のエスターさん。ユニセフなどの支援により学校に戻ることができ、教員を目指している。(コンゴ民主共和国、2022年12月16日撮影) © UNICEF_UN0774103_Ngombua

サハラ以南のアフリカは、世界で2番目に児童婚が多い地域で、児童婚をした世界の女性・女の子の20%が暮らしています。

児童婚減少のペースが現況のままでは、この慣行を撤廃するのに200年以上かかると言われています。

この地域では人口が急増し、危機的状況が続いているため、世界の他の地域では減少が予想されているにもかかわらず、この地域の女の子の児童婚は増加すると考えられています。

中東・北アフリカと東欧・中央アジアも、児童婚が着実に減少してきた期間を経て、今は停滞しています。

児童婚が少女たちに残す傷跡 

結婚から逃れ、子ども救済センターで避難生活を送る女の子。貧困や児童婚などで逃れてきた子どもたちに食事や寝る場所を提供しており、子どもたちは近くの学校に通うことができている。(ケニア、2022年10月撮影) © UNICEF_UN0722324_Kidero

子どもの頃に結婚した女の子は、結婚直後から、そして生涯にわたって、児童婚の影響を受けることになります。

学校に通い続けられる可能性が低く、早期妊娠のリスクが高まり、ひいては子どもや母体の健康障害や死亡のリスクも高まります。

児童婚はまた、女の子を家族や友人から孤立させ、地域のコミュニティから排除し、子どもの精神的な健康やウェルビーイングに大きな打撃を与える可能性があります。

紛争・災害・疫病による影響も

世界中で、紛争、気候関連の災害、そして新型コロナウイルス感染症の継続的な影響(特に貧困の増加、所得の大幅減、中途退学)が、児童婚を推進する一因となっています。

同時に、女の子を児童婚から守る保健ケア、教育、社会サービス、コミュニティ支援を利用することも難しくしています。

その結果、脆弱な環境に暮らす女の子が18歳未満で結婚する確率は、世界の平均的な女の子の2倍、と報告書は分析しています。

紛争関連死が10倍増加するごとに、児童婚の数は7%増加するのです。

同時に、気候変動がもたらす極端な気象現象は女の子が直面する児童婚のリスクを高めており、降雨量が10%変動するごとに、児童婚が約1%増加することにつながっています。

過去10年間に児童婚根絶に向けて得られた貴重な進捗も、新型コロナウイルス感染症の引き続く影響によって脅かされ、あるいは覆されつつあると、報告書は警鐘を鳴らしています。

このパンデミックによって、回避できた児童婚の数が、2020年以降すでに4分の1減ったと推計されています。 


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