2025年上半期の資金調達パターンが示す、アフリカ・スタートアップ成熟の兆し!

本記事では「Africa: The Big Deal | Max | Substack」に掲載された「H1 2025アフリカ・スタートアップ資金調達分析」を解説します。

2025年上半期で報じられた14億ドルという大きな見出しは確かに注目を集めましたが、真のポイントはその資金の流れ方にあります。資金調達パターンを詳しく見ることで、単なる回復ではなく、エコシステムが根本的に進化している姿が見えてきます。

1,000万ドル超の資金調達が増加!

最も顕著な傾向は、1,000万ドル以上の資金調達を達成したスタートアップが40社に達したことです。これは劇的な増加であり、アフリカ企業が8桁規模の投資に値する規模と洗練度に到達していることを示しています。

一方で、10万〜100万ドル規模の小規模ディール数は安定しており、初期段階の活動が継続しつつ、成功企業が成長段階に進む健全な資金調達ピラミッドが形成されています。

これは「勝者総取り」の傾向を示すもので、各業界の最有力企業が資金の多くを集めるという、世界の成熟したスタートアップ市場でも見られる現象です。

また興味深いのは、アフリカの資金調達パターンが世界のVC動向におおよそ半年遅れで追随している点です。世界市場が2022年後半に引き締まったとき、アフリカは2023年前半に同様の動きを見せ、世界が2024年後半に回復した際、アフリカも2025年前半に反発しました。

このラグは、グローバルの市場心理に左右されずに動ける逆張り投資家にとって好機をもたらします。


Credit:Africa:The Big Deal

デットファイナンスがもたらす変化

見過ごされがちですが、デットファイナンス(借入)の進化も注目すべき点です。総資金の28%にあたる4億ドルがデットであり、もはや「最後の手段」ではなく、正当な資金調達手段として確立しつつあります。

この変化は以下の要因によるものです。

  • 収益が予測可能でデットに耐えられるスタートアップが増加
  • 創業者が資本構成に関してより高度な知識を持つようになった
  • 投資家が多様なリスク・リターンの組み合わせを求めている

結果として、アフリカのスタートアップは世界標準の資本調達構造に近づき、混合型(株式+デット)に慣れた国際投資家にとって魅力が高まっています。

女性リーダーの現状

性別に関するデータは依然として厳しく、規模が大きくなるほど格差は拡大しています。

  • 女性CEOが率いる企業への資金は1.5%
  • 女性共同創業者がいる企業は9%
  • シリーズが進むごとに女性比率は急減

プレシード段階ではディール数の28%を女性が占めるものの、資金は15%にとどまり、シリーズBになるとディールは16%、資金は5%にまで縮小します。

これは単なるパイプラインの問題ではなく、成長段階での体系的な課題が個人の可能性やエコシステムの多様性を制限していることを示しています。

ビッグ4を超える地理的拡大とセクターの多様化

ナイジェリア、ケニア、南アフリカ、エジプトのビッグ4が依然として全資金の78%を占める一方で、10万ドル超のディールの33%はそれ以外の国で発生しています。

セネガル(1億4,800万ドル)、ガーナ(3,900万ドル)、トーゴ(3,000万ドル)など、新たな拠点が台頭し、エコシステムは従来の中心地以外にも深みを増しています。

またセクターを見てみると、資金の45%(6億4,000万ドル)を占めるフィンテックに加え、エネルギー&水分野が2億2,000万ドル(20%)で第2位に躍進しました。

インフラ不足や気候変動対策の主流化が背景にあります。これにより、エコシステムは商業的に成立する他分野へと多様化しています。

投資家エコシステムの質的変化

330以上の投資家が関与するなか、特に注目すべきは複数案件に参加する「常連投資家」の存在です。

これにより、

  • 一流投資家ネットワークにアクセスできる企業は明確な優位性を持つ
  • そうでない企業はより大きな課題に直面する

という二層構造が生まれています。

2025年後半の焦点と成長のシグナル

今後の課題は、半年ごとに40件以上の大型ディールを維持できるのか、二次市場が資金流入を増やせるのか、そしてフィンテックに続く次の成長分野がどこになるのかという点です。

また2025年上半期のデータは、アフリカのスタートアップエコシステムが成熟期に入りつつあることを示しています。大型ディールの集中、複雑な資本構成、地理的多様化、そして分野の広がりは、単なるブームではなく持続的成長の兆しです。

もちろん、包摂的成長や独自の資本市場構築といった課題は残りますが、基盤は堅固です。アフリカのスタートアップはスケールを見据え、大陸規模での展開を考え、機関投資家の関心を集めています。データは、その楽観を裏付けています。

このシリーズの次回は「アフリカのスタートアップ資金、再び回復へ!14億ドル市場を支える注目の産業とは?」をお届けします。

著者:Lawrence Maina (Axcel Africa Consuliting アソシエイトコンサルタント)


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