自給自足の暮らしができたらどんなに素敵だろう。
自分で作った野菜や、自分で育てた家畜をいただく。
水は雨水を使い(もしくは井戸水でも)、電気も自家発電ができたら、私たち人間は本当に自由になれると思うのだ。
私の住む南アフリカ、トランスカイの村の人々の暮らし。
彼らの暮らしは自然と直結、そして循環している。
私もそんな暮らしを見習って、なるべく無駄のない暮らしを送っている。
地球と循環して生きること。
それは旅が私に教えてくれた人間としての生き方だった。
雨に感謝するアフリカの村の暮らし
屋根を伝って流れ落ちてきた水をタンクに貯めて使うのが南アフリカの村の主流。
空気はとても透き通っていて、水はほんのり甘みがある。自然水の方が水道水よりおいしい。
水道もシンクもない家がほとんどで、使う水はタンクからバケツに入れて台所へ持ってきて使う。
水はたいてい真っ黒になるまで使われる。
タンクに水がない乾季は、森の湧き水や川へ水を汲みに行く。
彼らは水に一円も払わない。
しかし彼らは水の大切さを知っている。
その一滴一滴の重さを知っているのだ。
だから雨が降らなければ雨を乞い、雨が降れば喜ぶ。
旅をするまでは鬱陶しくて、あまり雨が好きではなかった。
しかしアフリカで暮らし始めた今は雨を喜べるようになった。
それは畑や生活の水が雨と直結しているからだ。
食べ物を粗末にしないアフリカの暮らし
アフリカの暮らしは食べ物に感謝する暮らし。
私も彼らに習って、ここトランスカイで自分にできる無駄のない暮らしをしている。
野菜の切れ端は豚の餌。
豚は何でも食べるので、食べ残しなども豚さん行き。
(我が家の鶏と豚。鶏も野菜の切り端などは喜んで食べる。)
肉の骨は犬のご馳走。ガリガリ、ガリガリ、一日中やってる。
卵の殻や玉ねぎなどの、豚が食べられないものは、コンポストにして畑に撒く。
鍋に残った少しのお米やパプ(とうもろこし粉で作る主食)も水に一晩つけておいて、翌朝庭に蒔けばたくさんのひよこたちが寄ってきて、ピヨピヨとかわいい声を出し食べてくれる。
毎日おなかいっぱいおいしい物を食べられることに感謝。
それは8年前のヒッチハイクと民泊の旅、そしてこのトランスカイの暮らしが教えてくれた人間らしい生き方。
世界中の人がそうして食べ物に感謝をして有難くいただけたら、この地球から飢えはなくなるはずだ。
自然は全ての生き物に必要なだけ食べ物を与えてくれる。必要以上の食べ物を所有して無駄にしてしまうと、その歪みがどこかの国の誰かに出てしまうのだ。
ライオンが食べた後の肉を他の動物に分け与えるように、自然から頂くこの食べ物を自然と循環することが豊かな暮らしを作る一歩。
何もかも手軽に買える暮らしも便利だけど、そういう生活で育ってきた私の目には、自然と循環して自然に与えられて生きている姿はとても逞しく、豊かに映る。
シンプルに、根っこのある暮らし
捨てるものをなるべくなくしたい。
買うものも最小限にしたい。
拾ってきて使えるものだってたくさんある。
作れるものは作りたい。
自然に感謝して生きたい。
小さなことから。
無理のないことから。
シンプルに、根っこのある暮らし。
いつかは私も土に還る。
そんな気持ちで生きていたい。