2016年10月19日、国際協力機構(JICA)は、タンザニアを中心にアフリカのキオスク(小売店)店舗を介して、無電化地域に電力を届けるサービス「WASSHA」を展開するデジタルグリッド社との間で、3億円の投資契約に調印しました。2012年10月に再開したJICAの海外投融資業務において、初めてサブサハラ・アフリカで実施される事業となります。
アフリカに電気を届けるサービス「WASSHA」を展開するベンチャーとは!?
2013年11月に設立されたデジタルグリッドは、サブサハラ・アフリカ地域において「オフグリッド太陽光事業」を展開しているスタートアップ企業です。未電化地域の村落にあるキオスク(小売店)に太陽光パネルを設置し、キオスクに来店するユーザーに対して、LEDランタンの充電・レンタル及び携帯電話の充電サービス「WASSHA(ワッシャ)」をタンザニアを中心に広く展開しています。ユーザーの多くは、一般に年間所得が購買力平価(PPP)ベースで3,000ドル以下の開発途上国の低所得階(BOP)層です。
デジタルグリッドの技術とビジネスモデルは、貧困層の居住地域にあるキオスクが提供するLEDランタンの充電・レンタルサービスに対し、デジタルグリッドが自社開発のハードウェアとソフトウェアによりキオスクでの電力使用状況をリアルタイムに遠隔制御・管理することで、モバイルマネーを使用して電力利用料を徴収するというものです。
デジタルグリッドは、電気があるからできる新しい体験を提供することで「未電化地域の人々の情熱に火をつける」ことをミッションに掲げており、スワヒリ語で「火を灯す」を意味するwashaという単語から、本事業のサービスを「WASSHA(ワッシャ)」と名付けています。
電化率は4%!?電気にアクセスできない人々を救う!
東アフリカに位置するタンザニアでは、電力アクセスが大きな課題となっています。特に地方部の電化率は4%に満たず、サブサハラ・アフリカ平均の17%を大きく下回ります。
電力にアクセスできない世帯は、料理用の木炭・薪や、照明用の灯油ランプ等、伝統的な一次エネルギーに依存しており、煙による健康被害や、温室効果ガスの排出が問題となっています。また、物流網の未発達により、地方部では灯油価格が高く、灯油ランプの使用はBOP層の家計にとって負担となっています。
デジタルグリッドは、電気にアクセスできない人々に対して、灯油ランプより明るく、安全で、安価なLEDランタンのレンタルサービスを提供しています。このビジネスにより、小売店の夜間営業や、新たなビジネス機会の創出、子供の教育時間の増加、灯油ランプを代替することによる家計支出の抑制、健康状況の改善、温室効果ガスの削減等の効果が見込まれます。
また、レンタルしたLEDランタンに携帯電話を接続することで、携帯電話を充電することも可能となります。モバイルマネーといった送金手段等にも活用されている携帯電話は、BOP層にとって重要な生活インフラであり、BOP層の生活を下支えすることにもつながります。
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