飢餓のない世界を創る活動をしている国際NGO『ハンガー・フリー・ワールド(HFW)』がお届けする世界食料デー連載企画第3弾は、HFWがウガンダで取り組んでいる活動についてご紹介します。ウガンダでは地域の若者への農業支援を通じて、収入の向上と同時に食料の安定供給や地域の人々の栄養状態の改善を目指しています。

東アフリカのウガンダの現状

ウガンダは東アフリカに位置し、平均海抜1200mの高地で日本の約5分の3の面積に約3900万人が住んでいます。温暖な気候と豊富な雨量に恵まれ、美しい自然は「アフリカの真珠」と呼ばれたほどです。

1962年に英国の保護領から独立後、内戦とHIV/エイズの蔓延によって長く苦しめられていましたが、勤勉な国民性から最近高い経済成長を遂げ、国民の生活環境も改善されつつあります。とはいえ、農村部ではまだまだ十分な収入が得られず、栄養不良に苦しむ人々が多く残っています。

HFWのウガンダでの取り組み

若者たちが課題を話し合い解決策を探る
写真:若者たちが課題を話し合い解決策を探る

HFWの活動地は、首都カンパラに近いワキソ県の農村地帯で、貧しい世帯への栄養改善、収入創出、組合活動支援、井戸やトイレ建設など衛生環境の整備を行ってきました。このワキソ県では、若者の人口比率の高いアフリカ各国の例にもれず、18歳から30歳の若者が人口の25%以上を占めます(ワキソ県第2次5ヵ年計画2015/16-2019/20)。

ただ農業の収入だけでは生計を立てることが難しいことから、若者の就農離れが進んでいます。一方で、都市部では就ける仕事が限られており、若者の失業率が9.4%にのぼります(2012-2013ウガンダ国勢調査)。

そこで、HFWでは、大規模な農業での収入向上事業(リンク先URL http://www.hungerfree.net/activities_report/13109/)を開始するとともに、若者の就農支援を、HFWの青少年組織ユース・エンディング・ハンガー(YEH)を通じて始めました。YEHメンバーは各活動地域の18歳から24歳までの若者で構成されており、若者ならではの力を発揮して飢餓をなくそうと、HFWと一緒に活動しています。

若者とともにモデル農園の運営を開始!

植えた苗の成長の具合を確認する
写真:植えた苗の成長の具合を確認する

2017年9月にYEHメンバーのうちの48名が共同で、トゥンバリ・ルウェンウェデ区の約1エーカー(約4047㎡)の土地を借り、モデル農園として運営を開始しました。参加するYEHたちの大半は、貧しい農家の出身です。都市部での就職は難しいものの、農業では収入が低いことで希望を持てずにいました。

そんな現状を変えようと、YEHメンバー自身がモデル農園を企画。農園を拠点に、各地の若者が情報交換しながら、さまざまな知識とスキルを身に着け、2020年頃までに農家として自立できることをめざしています。

この事業には、HFWの4つの活動地区以外のYEHメンバー4名と、活動地区の協同組合長も地域の農業リーダーとして選ばれました。自分自身の学びだけでなく、ここで得た知識を他の農家へ伝え広げる役割を担っています。

これまでに農業コンサルタントの指導のもと、講演や研修を実施しました。高く販売できる新しい品種の栽培や、栄養価の高い作物栽培、コストを抑えられる肥料、農薬の効果的な使い方、狭い土地を最大限に生かす栽培法、マーケティングや収支の管理など、今後も継続して実施していきます。

最適な土地の利用法と苗の植え方の研修を受ける
写真:最適な土地の利用法と苗の植え方の研修を受ける

9月には研修で教わった内容を元に、YEHたちがパッションフルーツ、カボチャの苗を植えました。ただ学ぶだけでなく、農園で実際に作物を作ることで実践的な能力を身につけていきます。YEHたちは意欲的で、責任をもって管理する管理メンバーが選ばれていますが、それ以外のメンバーも積極的に農園に足を運び、草引きなどを自主的に行っています。

農業からの収入が向上すれば、農業に就く若者も増え、若者の失業率の改善につながります。若者の雇用はアフリカ各国でも共通した課題であり、2016年8月にケニアで開催された第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)では、「若者の職業訓練を通じた雇用創出」の重要性が各国間で共有されました。

特に食料生産に従事する農業人口が増えることは、食料の安定供給につながり、地域の人々の栄養状態の改善が期待できます。持続可能な開発目標(SDGs)のゴール2は「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を推進する」と掲げています。若者への農業支援は飢餓の解決のうえで大きなカギを握っていると、HFWは考えています。

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特定NPO法人ハンガー・フリー・ワールド
1984年設立。日本、バングラデシュ、ベナン、ブルキナファソ、ウガンダで活動。「飢餓のない世界」を創るため、海外では住民主体の地域開発、国内外では、アドボカシー、啓発活動、青少年育成に取り組む。