こんな例え話があります。みなさんならどう答えますか?

村習慣

私ならこう答えます。

お近づきになるために訪問しに来る人、物乞いに来る人、妬み感情とともに噂話する人、資材を盗む人、呪う人、毒を盛る人が現れる。

発展に伴うライフスタイルの変化の速度と比べ、人々の考え方の変化は遅いものです。きっとまだ多くのアフリカの人々が、村文化の影響を大きく受けていると思います。

アフリカの人々と関わる上で、理解できない文化や慣習が数多く生じることは仕方ないのですが、理解する努力はできるかと思いますし、そうすればお互いが気持ちよく働けると思います。

私は、アフリカはブルンジの田舎の零細農家に嫁いで3年以上が経ちます。私が直接見てきた文化は一点だけであり、アフリカの全ての地域に共通の文化として一般化できるものではありませんが、見方のヒントにはなるかと思います。

アフリカ村文化を紐解く

今回は、アフリカの人々の考え方の背景となっている村文化を紐解いてみたいと思います。ビジネスに通ずる教訓も得られると思います。相互理解の一助になれば幸いです。 

主従関係

村は主従関係で成り立っています。親や年長者、雇用主、教育を受けた人などの「偉い人」が命令を出し、目下の人はただ従順に実行します。

基本的に、偉い人が自分で手足を動かすことはありません。目下の人が自分から進んで何かをすることもありません。やることがあるときはしっかり働きますが、ないときは何にもしません。

人を雇う場合、大きな責任を負います。ちょっとした単純労働であれば、賃金を払うほかに、食事や酒も出すなんて当然、というのはまだ軽い方。住み込みだったり、長期に渡って雇用した場合は、その労働者はもちろんのこと、彼/彼女の家族の暮らしにまで責任を負います。

例えば、治療費や学費を、賃金とは別に出してあげたり。雇用が終わった後でも、この関係が続くこともあります。

相互依存

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写真:新年に30人ほど人が押し寄せた際のスピーチ時

何よりも人付き合いを優先します。その日暮らしは不安定なので、常に助けてもらえる基盤を固めておくのです。そのため、知人と出くわせば必ず立ち止まって長々挨拶をします。

特にニュースはなくても、定期的に電話をしたり、訪問したりして、常に関係をアップデートします。冠婚葬祭時には何百人もの人が押し寄せます。帰りのチケット代がなくても来ます。

挨拶に来た人、訪問しに来た人は、知っている人はもちろんのこと、直接知らない人であっても、まず家に招き入れて座り、それから話をします。ホストから追い返すことはできません。どちらかというと、貧しい人が裕福な人をつなぎとめる傾向が強いです。

ブルンジでは、更に関係性を深めるために牛の贈与が繰り返されます。一族から牛を贈り、贈られた一族の牛が子牛を産んだらそれをお返しする。といったように家族間の絆を深めるようです。

平等主義

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写真:昼時にはどこからともなく人が湧き出てくる

持てる人が持てない人に恵むのは、当然以上の当然です。お金がある人、収穫がある人、知識がある人は、そうでない人に分け与えます。等価交換ではなく、ある人からない人への一方通行です。ない人は与える必要はありませんし、そのことについて、ある人が怒ることもありません。

ない人が将来ある人になったとしたら、その時にない人に分け与えるのであって、過去に援助してもらったある人に直接お返しする必要はありません。

妬み、恨み、呪い、毒

上で書いてきたように村社会の均衡は保たれています。この均衡を崩す人、例えば、すごく裕福になった人が出てきた場合、村人たちは揺れます。

最初の例え話「隣人が3階建ての家を建てているとき」の回答として挙げたように、今や将来の足しになるかもしれないので、お近づきになりたいという気持ちで寄って来る人が出てきます。そんなにお金があるなら、貧しい私たちを支援してよと物乞いに来る人も出てきます。

危害を加えたり、直接的な嫌がらせはしなくとも、裕福になってしまったという事実を、妬み感情と共に瞬く間に噂する人も出てきます。疎遠になる人も出てくるでしょう。平等を保つために資材を盗む人も出てきます。

そして、今でも、呪術師に呪いを依頼する人、毒を盛る人もいます。本当に今でもいます。

ちなみに、ブルンジの呪術師は、夜に家の前で飛び跳ねるなど音を立てて呪います。呪われた人は、音で呪いに気付きます。呪いは、時には死に至るほど危険だと、今でも認識されています。毒についても、呪術師に依頼して調合し、食事や飲み物に混ぜて出すようです。

呪われたら、その人が村を出ていかないといけません。村の誰かが呪いをかけたくなるほど、村の調和を乱した、村から出ていけと言われたことを意味するからです。

ブルンジでは、日没後に気付かれないように、そっと村を後にします。やったもん勝ちであり、やられた方が波風をたててはいけないのです。

ビジネスでは

例え話に則して、村文化の一部を紐解いてみました。ビジネスにも当てはまるかと思います。

  • 言わないと働かないのは、主従関係で育ったから。
  • なんだかすごく非効率なのは、目上を立てなければいけなかったり、人との関係性を重視しないといけないから。
  • 内容のないメッセージを頻繁に送ってくるのは、忘れられては困るから。

「くれくれ攻撃」について愚痴をこぼす日本の方は多いですが、現地人同士の方が絶対に強欲ですし、基本的に断ることはできません。

賃金を払っていても、病院や学校などに必要だと乞うて来る人がいますが、労働と賃金だけで完結する関係性って近代文化ですね。

なんだか心を開いてくれない人は、もしかしたら、こちらが目上だからだったり、あまりに裕福なために妬み感情を抱いているからかも。

こうやって書くと、近代的な文化で育たなかったアフリカの人々と理解し合うことは難しいように思えてきます。でも努力はできると思います。

まずは、「こういうものだ」と納得すること。そして、できるだけ現地の言葉を話し、慣習に従い、食事や酒の席を共にし、本人のことはもちろん家族のことにも気を配ること。

日本とアフリカの間で理解が促進されると嬉しいですね!

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ドゥサベ 友香

ドゥサベ 友香

妻/母/開発コンサル会社勤務/雑貨店経営/ボランティア団体代表メイドインブルンジ&エコ専門店
ドゥサベ友香(ともか)1989年名古屋市生まれ。2016年にブルンジ移住。夫と娘、ときどき夫の家族・親戚やその他私は知らない人たちと共にブジュンブラに暮らす。育児と日本のコンサル会社の業務の傍ら、メイドインブルンジ&エコ商品を扱う店の経営、路上の母子の生活再建支援も手がける。