Black Lives Matter!アフリカ系アメリカ人の人種差別への抗議運動と、その背景を考える。

アメリカ、ミネソタ州ミネアポリスで5月25日、アフリカ系アメリカ人男性であるジョージ・フロイド氏(46)が白人警察官に首を押さえつけられ死亡しました。

フロイド氏は偽造紙幣を使用した疑いにより手錠で拘束された際に、警察官の膝で約9分間、首を地面に抑えつけられ意識を失い、搬送先の病院にて亡くなりました。

フロイド氏が警察官に抑えつけられている様子を撮影した動画はSNSに投稿、拡散され、事件の翌日にはミネアポリスで大規模な抗議運動が発生しました。

その後、抗議運動はアメリカ各地のみならず世界中に広がり、「#BlackLivesMatter(「黒人の命も大切」という意味)」や「#BlackOutTuesday」といったハッシュタグを付けて企業や著名人がSNSに投稿し、大きな社会的ムーブメントとなっています。

Black Lives Matterとは?

Black Lives Matterとは、アフリカ系アメリカ人コミュニティが中心となって発足した、黒人差別への国際的な抗議運動です。

「#BlackLivesMatter」のハッシュタグと共にSNSを中心に広まったこの抗議活動は、2013年頃に始まりました。

発端となったのは、2012年2月にフロリダ州在住のアフリカ系アメリカ人の少年トレイボン・マーティンが白人警官のジョージ・ジマーマンに射殺された事件でした。

事件当時、少年は丸腰だったにも関わらず、ジマーマンは正当防衛が認められ2013年7月に無罪となりました。

しかし、地元警察が当初ジマーマンを逮捕しなかったことや、無罪判決が出されたことを受け、ジマーマンの逮捕と十分な取り調べを求める社会的な運動が起こり、「Black Lives Matter」を合言葉にした抗議運動に発展しました。

そして残念ながら、その後もアフリカ系アメリカ人が警察官に殺害される事件が多数発生しています。

翌年2014年7月にはニューヨークにて、アフリカ系アメリカ人男性のエリック・ガーナーが違法にタバコを販売した疑いで逮捕される際、当時警察官であったダニエル・パンタレオに首を絞められ死亡する事件が起きました。

さらに、同年8月、ミズーリ州ファーガソンでアフリカ系アメリカ人の少年マイケル・ブラウンが、白人警官のダレン・ウィルソンによって射殺される事件が発生しました。少年は武器不所持でしたが、ウィルソンは不起訴処分になりました。

同年10月にはシカゴにて、アフリカ系アメリカ人の少年ラクアン・マクドナルドが白人警察ジェイソン・バン・ダイクから16回の発砲を受け、射殺されました。

これらの事件を契機に、黒人であるだけで命が軽視されたことに対し多くの人々が怒りを表明し、「#BlackLivesMatter」ムーブメントが各地で活発になっていきました。

警察官によるアフリカ系アメリカ人の差別の現状

アメリカにおける警察によるアフリカ系アメリカ人の差別は、最近では「Racial Profiling(人種による選別)」という言葉で問題になっています。

これは、故意にアフリカ系アメリカ人およびその他有色人種などの偏った層に対し捜査を行うことを指しています。

米疾病対策センター(CDC)によると、アフリカ系アメリカ人男性の死因として一番多いのは心臓病、2位は癌ですが、3位はケガ、4位は殺人であり、5%の黒人男性が殺害されているそうです。

脳卒中、アルツハイマー病、糖尿病などによる死亡よりも殺される人の方が多く、25~29歳のアフリカ系アメリカ人男性に絞ると、死因の7位に「警察による殺害」が挙げられています。

このような警察官による黒人への暴力を始めとするアフリカ系アメリカ人への人種差別の根底には、400年以上前に始まった奴隷制度や、奴隷制度撤廃後も残る社会構造の問題があります。

アフリカ系アメリカ人差別の背景:奴隷貿易の歴史

アメリカ(当時はイギリス植民地)へのアフリカ人奴隷貿易は、17世紀後半にバージニア州やメリーランド州でタバコの生産が急速に発展し、安価で安定性のある労働力の確保が必要となった背景から急増し、しだいに黒人奴隷制度が法制化されていきました。

奴隷となったアフリカ人の多くは商品のように船に詰め込まれ、アフリカ西海岸から輸送されました。奴隷貿易の拠点であったセネガルのゴレ島や、ガーナのケープコーストは、当時の様子を伝える負の世界遺産として残されています。

1860年にはアメリカにおける黒人奴隷の数は約400万人に到達し、綿花、タバコ、砂糖、麻、コメ等の商品作物生産の貴重な労働力となりました。

その後、奴隷制度の廃止を訴える声がアメリカ北部から広がり、1865年に南北戦争が終了した後に奴隷制度は廃止されました。

ただし、その後も黒人差別は長い間改善されず、1950年代から60年代にかけて、キング牧師やマルコム・Xなど、複数の黒人リーダーが立ち上がり、白人との平等な権利を要求する公民権運動を率いました。

現在も残る、アフリカ系アメリカ人への差別と所得格差

こうした先人達の闘いにより、アフリカ系アメリカ人への法的な平等は保証されたものの、2020年の現在も差別や所得格差は依然として残っています。

アフリカ系アメリカ人の失業率は常に白人の2倍を超えています。

貧困と犯罪が直結しやすいのは各国共通の傾向であり、そういった観点からも、「アフリカ系=犯罪者の確立が高い」とするステレオタイプが依然として消えていません。

また、新型コロナウィルス流行によるアフリカ系アメリカ人の死亡率は白人の2.4倍、というデータも報告されています。

この要因として、白人に比べ黒人やヒスパニック系は、テレワークが難しい低賃業のサービス業や肉体労働で働いている人の割合が高いことや、医療へのアクセスの低さが挙げられています。

長年アメリカが抱えてきたアフリカ系アメリカ人への根強い差別に加え、コロナ禍でアフリカ系アメリカ人が受けた負の影響が重なり、今年5月からの「BlackLivesMatter」運動の激化に繋がっています。

今、日本から私たちにできること!

AyakaBrandyさんの記事を引用させていただき、今、「BlackLivesMatter」運動に関連して日本からできることを紹介します。

署名する

下記のサイトより、今回犠牲になったジョージ・フロイドさんとその家族のために署名ができます。

記事から学ぶ

wired.jpでは #BlackLivesMatter についてのたくさんの日本語の記事が掲載されているので、詳しく勉強したい方はこちらがお勧めです。

またアフリカに関わる活動している日本人の方々も #BlckLivesMatterについてブログを通して想いを発信されています。

映画から学ぶ~音楽を通じて学びたい方向け~

アメリカにおける黒人差別の歴史については、様々な映画からも学ぶことができます。

  • ヘアスプレー(I Know Were I’ve Been)

  • ドリームガールズ

映画から学ぶ~よりしっかり学びたい方へ~

  • ボクらを見る目

  • ヘイト・ユー・ギブ

  • 13th -憲法修正第13条-

  • LA 92


参照・参考記事:

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