教育のアップデートを後押し!ウガンダで活動するNGO職員が考えるコロナの捉え方!

新型コロナウイルスに世界中が苦しみ始めて1年半以上たった今、多くの人がコロナの蔓延を恨み、一刻も早い収束を願っています。

しかし、本当にコロナはただの悪者なのでしょうか。私たちにネガティブなものしかもたらさないのでしょうか。コロナもきっと何かしらプラスの面も持ち合わせていると思った私は、主に東アフリカで活動する日本人から、コロナをポジティブにとらえる方法を学ぼうとしています。

*取材当時の情報であり、一部状況が変更していることもあります。

あしながウガンダで学生たちの教育支援を実施!

第8回目はあしながウガンダの立岡悠さんです。

(2017年にあしながウガンダのドキュメンタリー映画、「シンプルギフト」が制作されています。

東日本大震災、ウガンダの紛争や貧困、それぞれの被害にあっている子ども達が音楽を通して関わることで、互いに傷を癒し、成長もする姿にとても感動します!遠く離れていても、人は繋がっており友達になれる、と教えてくれる映画なので是非観てみてください!!)

立岡さんは大阪の大学で物理学を専攻し、中高生時代からの教師になるという夢をかなえるために教員免許を取得します。

大学院進学も考えたそうですが、新卒で青年海外協力隊(現JICA協力隊)の活動に参加することを決め、2010年9月から2年間、ガーナに物理学の先生として派遣されます。

もともと国際協力に関心があったわけではないそうですが、指導者として異文化の学びなど「人に伝えられるもの」を身につけたい、また社会に出る前に何か経験や学びをしておきたいと思い、参加を決意したそうです。

任期終了後は、タンザニアで野球の普及活動をする方と知り合い、立岡さん自身も10歳からずっと野球をしていたことから、半年ほどインターンの様な形で活動に関わります。

その後、長野での中学校常勤講師を経て、2015年にあしなが育英会に就職します。最初の2年半は東京本部にて学生担当募金やサマーキャンプなどのイベントに携わり、その後海外のインターン採用担当となります。そして2018年からウガンダに滞在し、小学生や大学入学前の学生たちの教育支援を行っています。


写真:あしながウガンダで子ども達に教える様子

コロナによって、教育の在り方がアップデートされた!

立岡さんにとってのコロナは、「教育のアップデートをもたらしたもの」だそうです。

ウガンダでは2020年3月からロックダウンに入り、徐々に緩和はされているもの学校の再開は2022年の1月となっています。

その間、多くの子ども達は勉強が出来ず、大変な状況にあります。世界的にも学校が休校になりましたが、その影響によりオンライン教育ツールが急速に開発・普及しました。

そこであしながウガンダでも、これまで対面で行っていた授業を2020年10月から完全にリモート化し、オンラインでの授業やネットを使って勉強する体制に切り替えたそうです。

立岡さんはこの変化を、可能性を広げるチャンスだ、と考えています。

停電の問題やネット環境が整えられない初等教育の生徒もいたりなど、全てが上手くいっているわけではないそうですが、オンライン化によってより成績が伸びている子供も多いようです。

パソコンを支給している高等教育の学生たちは、コロナ禍にも拘らず、見事に全員大学に合格しました。

また学生だけでなく、先生達の中にもいい変化が表れています。

対面での授業ではやはり、日本と同様に黒板に板書するスタイルで、現地の先生方のマインドの中にも「板書しておけばいい」といったものが見えていたそうですが、新しい教材やシステムを紹介することで「こういう授業もあるんだ」と固定観念をアップデートすることができ、さらにパソコンを使わないといけない状況におかれたことでパソコンのスキルも磨かれています。

前例踏襲が当たり前で、それに慣れてしまっていましたが、この環境の変化によって、みんなが「より良い教育を提供しよう」という意識に変わるきっかけになったそうです。

ついていけない子のフォローアップの難しさやネット環境の問題など課題もありますが、モチベーションを高めたり、その子に合ったやり方を提供するなどのフォローアップの体制を上手く整えられれば、これまで以上の教育の場が提供できる、と期待を込めて語ってくださいました。

「これまでの枠にとらわれず、常に教育の在り方をアップデートしていきたい、コロナはその後押しになった」とも話します。


写真:心塾の生徒と共に

自身の教育への向き合い方もアップデートされた!

また、プライベートの面でも、立岡さん自身「アップデート」出来たようです。

2020年3月、ウガンダのロックダウンに伴い、立岡さんはいったん帰国されました。ウガンダに赴任後3年目にして初の帰国であり、久々の日本の四季を楽しめたそうです。

国内の業務はあるものの、比較的それまでより自分の時間を取ることができ、改めて人生の振り返りとこれからの事を考えます。

なぜ教育の分野なのか、またアフリカに戻るべきか、を考えた結果「これまでずっと教育や人と関わる仕事に携わってきたが、やっぱり人と関わるのが好きで可能性を広げる仕事をしたいと思った。」と結論に至ることが出来たと言います。

またその振り返りの時間の中で、自分も大切にしようと考え、ヨガや食生活の改善など、精神・身体にいいことを生活の中に取り組むようにしたそうです。

約1年の日本勤務の後、ウガンダに渡航したものの、再度のロックダウンに見舞われます。

一時現場を離れたことで現場との距離感が変わってしまったこと、オンラインでの教育やリモートワークが継続したことなどから、辛さを感じる日々もあったそうです。

しかし、世界的に教育がどんどんアップデートされており、より多くの人に可能性を広げられる時代になっていること、一方でその環境にはほど遠い子ども達もたくさんいることをウガンダにて体感します。

さらにあしながウガンダが対象にしている中退してしまった子たちは、もともと通常より年齢が高いうえにロックダウンによって月日を奪われています。

彼ら彼女らにこのまま初等教育をし続けていいのか、職業訓練の様なものも組み込んでいくべきかもしれない、など新しい課題も見つかり、解決のために動き出しています。


写真:寺子屋の子ども達と共に

ウガンダでハイブリッドの教育の提供を目指して!

立岡さんの「コロナ後」の計画は、オンラインと対面の授業を組み合わせたハイブリッド教育を提供することです。

学校が再開しても、どちらにも一長一短あるため、両者のいい所取りをしたいと考えているそうです。

対面であれば、雑談を通して学生自身も学びや気づきを得られ、立岡さんや先生たちは知識や意欲の面などフォローアップがしやすいです。

一方でオンラインだと、対面の授業で中間層に合わせざるを得なかった子たちが、どんどん伸びていけます。

対面ではこれまで通り現地の先生やインターン生、オンラインではプロの先生から学べる場を残し、自分でカリキュラムを組み立てられるようにすることで、意欲的に学ぶ環境を提供できます。

そんなハイブリッドの教育を提供するのはとても楽しみだそうです。空白の2年を経験してしまったウガンダの学生たちが、それをマイナスだと思わないくらいの教育を受けられることを私も願っています。

インタビュー後記

立岡さんからは、コロナ禍のいい変化に目を向け、さらにその変化をより進歩させることが出来ると学び、さらに教育の進歩についても知ることが出来ました。

学生たちのことを一番に考え、とても優しい笑顔を絶やさない素敵な教育者である立岡さんのサポートにより、これからもウガンダの子ども達は未来に向かって頑張っていくと思います。

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