アフリカで安全な水を利用するための取り組みが不足!国際NGOウォーターエイドが新たな分析

アフリカでは、気候変動に影響されることなく、家庭やコミュニティで清潔な水と衛生設備を利用できるようにするための取り組みが不足していることが、水・衛生専門の国際NGOウォーターエイドの新しい分析で明らかになりました。

安全な水の供給に向けたプロジェクトが不足しているアフリカ

アフリカ大陸は、広大な地域に地下水が存在していることもあって、大きな可能性を秘めていると言えますが、その一方で、資金ギャップを埋めることが急務となっています。

政府や各機関による気候変動対策資金だけでなく、民間企業が、規模の大きい水関連プロジェクトに対して、特に最も脆弱なコミュニティに届くような形で投資を拡大することで、アフリカのグリーンエコノミーを実現することが可能になる、とウォーターエイドは述べています。

しかしながら現在、このような取り組みは十分行われているとは言えません。 

アフリカ各国に割り当てられた、基本的な給水システム向けの気候資金の額は、2016年から2020年の間、年間平均5000万米ドル弱です。

これは世界の年間武器取引の約50分間相当の額とほぼ同じであると言えます。

これでは気候危機に直面しながら生きる人々の生活を支えるには到底足りません。 

ウォーターエイドは、OECDや気候政策イニシアチブなどのデータを分析し、COP27の場で、気候変動に対してレジリエントな水へのアクセスに関する調査結果を発表しました。 

世界では、2016年から2020年、大規模なエネルギーやインフラプロジェクト等の気候変動向け資金は、年平均5,750億米ドルにのぼりました。

一方、このうち、支援を必要としている人々を対象とした水・衛生分野の気候変動適応に焦点を当てた開発資金としてコミットされたのは、わずか0.008パーセントに過ぎません。 

サハラ以南のアフリカ諸国では、ガーナに700万米ドル強という最大の額が割り当てられたものの、今なお、350万人が基本的な給水サービスを利用できず、約2350万人が基本的な衛生設備を利用できていない状況にあります。

ブルキナファソ、ケニア、エチオピアといった気候変動の影響に直面している国々が受け取ったのは、いずれも400万ドル強にとどまっています。

気候変動の影響を強く受けるアジア・アフリカ地域

2022年11月6日に開幕した国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)に参加しているウォーターエイド・イギリスのチーフ・エグゼクティブ、ティム・ウェインライトは次のように話します。 

「ウォーターエイドが活動しているアジア・アフリカの国々の人々は、地球温暖化に対して最も影響してきませんでした。

一方で彼らはすでに深刻な気候変動の影響を受けて生活しており、私たちはそのような状況を目の当たりにしています。

今年発生したパキスタンの洪水、そして「アフリカの角」における干ばつがそれにあたるでしょう。

洪水や干ばつ、汚染によって、安全で清潔な水の利用が脅かされている今、この危機に直面している最前線の人々を支援するために、公的資金・民間資金を世界規模で投入する必要があります。

彼らは本来、最前線にいるべきなのに、列の最後尾にいるのです。」 

先の調査によると、ラテンアメリカとアジアの低中所得国では、水事業向け資金のうち、民間セクターからの投資はわずか9%にとどまっており、通信事業87%、電力事業45%と比べてわずかです。

水事業への投資を拡大するために活動するウォーターエイド!!

このような状況に対して、水事業への投資を大規模に拡大するため、「サステナブル・マーケット・イニシアチブ(Sustainable Market Initiative)」の一環である「レジリエント・ウォーター・アクセラレーター(Resilient Water Accelerator:RWA)」を通じて、ウォーターエイドはこの課題に取り組んでいます。

バンク・オブ・アメリカ、アフリカ開発銀行、英国政府、オランダ政府などのパートナーの支援を受けたこのRWAは、公的資金・民間資金を呼び込み、「すべての人に水を」を実現するレジリエントな水プロジェクトの設計を進めています。

RWAは、初期段階として、今後10年間で水不足の地域に住む5,000万人に清潔で安全な水を供給することを目指しています。 


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