アフリカ大陸南部の島国・マダガスカルで活動する特定非営利活動法人エコロジーオンライン（以下、エコロジーオンライン）は、昨年９月20日より実施してきたバイオガス装備設置のクラウドファンディングが、12月31日に終了したことを発表しました。
このクラウドファンディングはJICA海外協力隊員の中田里穂隊員と共に実施してきたもので、当初目標の70万を上回り、100万円を達成することができました。
すでに設置先の現地調査も始まり、雨季が終わりに近づく3月から3基の着工を開始します。
マダガスカルの気候変動に立ち向かえ！
今年はエコロジーオンラインがマダガスカル支援を始めて８年目となります。
エコロジーオンラインでは、マダガスカルを気候変動の被害を受けるアフリカ支援の入り口と位置づけ、2019年には現地のカウンターパートとなるNGOマダガスカル・みらいの立ち上げを呼びかけ、彼らとともに貧しい家庭のエネルギー環境の改善、森を守るテーマソングの制作、荒廃した土地での植林、株式会社アルビオンと連携した小学校支援、森林教育を実施するラジオ番組の制作などを手がけてきました。
また、JICA海外協力隊隊員が担当した小学校の継続支援も実施し、女子美術大学の協力で制作した環境教育のぬり絵が隊員たちの活動に活用されるなどの協働を行ってきました。
そして、昨年9月20日より、マダガスカル第3の都市アンチラベに派遣された中田里穂隊員と共に実施してきたバイオガス装備設置のクラウドファンディングが12月31日に終了。
当初目標の70万を上回り、100万円を達成することができました。
現在は設置先の現地調査を行っているところで、3月から3基の着工を開始します。
森林減少を食い止め、森の大切さを伝える！
エコロジーオンラインの途上国支援活動の柱は森を守るライフスタイルの普及です。
エコロジーオンラインが約７年にわたって支援を続けるマダガスカルは、この約60年間で森林の44％が失われ、2017年には1年間で千葉県の面積に相当する51万ヘクタールの森林が消失しています。
その結果、森林面積は国土の7％ほどまで減少してしまいました。
その原因と言われるのが「焼畑農業」、「木材用伐採」、及び「調理用の薪・木炭生産のための森林伐採」です。
中学校を卒業する人が約2割と言われるマダガスカルでは、森林の様々な役割を知る人はそう多くはありません。
森林を守る情報を広く啓発する意味から、森林の保全情報を発信するラジオを制作し、森を守るメッセージを持つ楽曲をつくってオンエアし、女子美術大学とともにつくった森を守るぬり絵を小学校に配布してきました。
また、森林破壊の一因となる「調理用の薪・木炭」は、森を破壊して地球温暖化を加速させ、一酸化炭素中毒で子どもたちの命を奪う危険なエネルギーです。
エコロジーオンラインはそれらを改善するために、燃焼効率の良いカマドの普及や、モミガラを炭化した燃料の製造、牛や豚の糞尿をメタン発酵させるバイオガスの普及を手がけてきました。
2018年12月からは、タイのチェンマイ大学が東南アジアで普及させている温かい地域向けのバイオガス設備を2基設置して住民向けの普及啓発を実践してきました。
バイオガス普及を促進させるプロジェクト！
2020年以降、コロナ禍で停滞したエコロジーオンラインのバイオガス事業に興味を持ったのがマダガスカルに派遣されたJICA海外協力隊の中田里穂さんでした。中田さんは静岡県富士市役所を休職し、ＪＩＣＡ海外協力隊として1年前にマダガスカルに赴任しています。
今回、中田さんと共同で実施したクラウドファンディングで集まった金額は、総計105万1千円になります。
この資金によって実現するのは次の二つです。
一つ目は、アンチラベの農村に新たに3基のバイオガス装置を導入すること。
そして二つ目は、持続可能なバイオガス普及促進のための“人づくり”として、農民や中田隊員の配属先職員対象の研修（設置や維持管理）の実施や、そのマニュアル作りになります。
現在、学校等の社会的施設も含め、新たな設置先の現地調査が始まり、雨季が終わりに近づく3月から3基の着工を開始します。
エコロジーオンラインは、マダガスカルでのバイオガス装備の設置に向けて、これからも歩みを止めることなく進めていく予定だとコメントしています。
