NECは、アンゴラケーブルズ社と共同でアンゴラとブラジルを結ぶ大容量光海底ケーブル敷設プロジェクト「SACS(South Atlantic Cable System)」の建設を開始したと発表しました。この光海底ケーブルシステムは、アフリカ大陸と南米大陸間を結ぶ南大西洋を横断する世界初のケーブルであり、2018年中旬の稼働開始時を目指しています。
アフリカと南米を結ぶ世界初の光海底ケーブル建設プロジェクトとは。
「SACS」は、アフリカ大陸と南米大陸間を結ぶ南大西洋を横断する世界初の光海底ケーブルシステムであり、NECにとって大西洋で初めて手掛けるプロジェクトとなります。本海底ケーブルは、アフリカに中西部に位置するアンゴラの首都ルアンダ(Luanda)とブラジルのフォルタレザ(Fortaleza)を結ぶ、総延長約6,200kmの光海底ケーブルです。同プロジェクトは、アンゴラ政府国有のアンゴラテレコム社が株式の51%を保有するアンゴラケーブルズ社(Angola Cables SA)と共同で行われます。
「SACS」の建設には、国際協力銀行(JBIC)のバイヤーズクレジット(輸出金融)が活用されます。融資については、三井住友銀行(SMBC)が協調融資を行い、SMBC融資部分には独立行政法人日本貿易保険(NEXI)による保険が適応されます。JBICは、アンゴラ国営のアンゴラ開発銀行を通じて、建設資金の一部をアンゴラケーブルズ社に融資します。
内戦を経て急激な発展を遂げるアフリカの資源国、アンゴラとは。
アンゴラ共和国はアフリカ大陸の南西部に位置し、日本の約3倍もある広大な土地に約2,200万人が暮らしています。1975年に独立を果たした後、2002年まで内戦状態が続いていました。ただ内戦終結後は石油やダイヤモンドなどの豊富な資源を背景に急激な経済発展を続けており、それに伴って国際通信が急増しています。現在、特に経済大国のブラジルや、ブラジルを経由した米国との通信を可能にする国際通信ケーブルの整備が求められています。
今回NECが建設する「SACS」は、陸揚げ地のブラジル・フォルタレザで米国に繋がる海底ケーブルとも接続する予定で、今後も予想される両地域間の通信需要増に対応することができます。しかも、一波長あたり毎秒100ギガビット(100Gbps)となる最新の光波長多重伝送方式に対応しており、建設時設計容量として毎秒40テラビット(40Tbps)の高速・大容量伝送が可能なシステムです。これは1秒間にDVD(4.7GB)を最大約1050枚送信出来る速度です。
アフリカで求められるニッポンの技術!NECが持つ高い技術力とは。
NECは、海底ケーブルシステム事業を手掛ける海底ケーブルのトップベンダーです。過去40年間で、日本を含むアジア・太平洋地域において、地球5周分となる約20万kmを超える敷設実績を誇ります。
陸上に設置する光伝送端局装置・光海底中継器・光海底ケーブルなどの製造、海洋調査とルート設計、光海底ケーブルシステムの据付・敷設工事、訓練から引渡試験まで、全てをシステムインテグレータとして提供できる高い技術力を、NECは持っています。特に、深海8,000メートルの水圧に耐えられる光海底ケーブルに関しては、NECの関連会社である株式会社OCCが日本で唯一製造可能です。
アフリカで高まる様々なニーズに対して、今ニッポンの技術が求められています。NECは「社会ソリューション事業」に注力しており、今後も光海底ケーブルシステムを含めた通信インフラ整備事業をグローバルに拡大することで、豊かな社会を支える情報基盤の確立に貢献できるビジネスを今後も展開していくとコメントしています。
引用元:NEC プレスリリース
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