世界的デザイナーであるスティーブン・バークスとマリカ・レイパーが率いる「Stephen Burks Man Made」が、アフリカ・クバ王国の伝統と日本の林業文化を融合させた展覧会『Kuba Sugi(クバ・スギ)』を、2025年9月6日から東京・space Unで開催します。
本展では、アーティスト・イン・レジデンスを通じて生まれた彫刻作品や、アフリカの職人たちとの出会いを記録したドキュメンタリー映像も上映予定です。
クバ王国の精神性と日本の自然素材が融合!
本展『Kuba Sugi』では、アフリカ・コンゴ民主共和国にかつて存在したクバ王国の伝統織物と、日本の林業や精神文化との出会いがテーマとなっています。
クバ王国は16〜17世紀に栄えた王族の宮廷文化を背景に持ち、幾何学模様が特徴的なラフィア織物は、今日においても高い芸術的価値を有しています。しかし、西洋の研究者の中にはこれを過去の芸術と見なす意見もあり、その価値の再定義が求められています。
本展では、日本の神聖な素材である杉や檜と、クバ芸術における儀式的要素を掛け合わせた新たな彫刻作品が展示されます。
例えば、カウリ貝や重ねた和紙、ラフィアのスパンコール、銀色に塗装された檜のビーズなどが使用され、翻訳(translation)ではなく「移し替え(transfer)」という形で文化が交差します。
吉野杉の家で生まれた新たな表現!
この展覧会の背景には、奈良・吉野で行われたアーティスト・イン・レジデンスプログラムが存在します。
space Unが主催するこのプログラムは、アフリカ及びディアスポラのアーティストを日本に迎え、地元の職人と共に作品制作を行う場です。
今回の滞在制作では、バークスとレイパーが約2ヶ月半にわたり、吉野杉の家で制作を行いました。古来より神道の聖地として知られるこの地域での制作体験は、彼らの作品に大きな影響を与えました。
展覧会では、キンシャサでの文化的ルーツ探訪の様子を記録した短編ドキュメンタリー『In Search of Kuba(クバを探して)』も上映予定です。
この映像は、コンゴの職人、研究者、起業家たちとの出会いを通じて、クバ芸術に宿る「生きた」文化の力や変容の可能性を描いています。
文化的ハイブリディティ(混成性)を重視するStephen Burks Man Madeの批評的アプローチが、映像作品にも反映されています。
現代アフリカ美術の発信地としてのspace Un
本展の開催地であるspace Unは、現代アフリカ美術と日本・アフリカ諸国間の文化交流を推進するアート&カルチャースペースです。
2024年にエドナ・デュマ氏が設立した同スペースは、アフリカにルーツを持つアーティストの創作活動を支援する場として誕生しました。奈良・吉野でのレジデンスプログラムを通じて生まれた作品は、東京で展示され、都市と自然、そして大陸間の対話をつなぐ役割を担っています。
Stephen Burks Man Madeの活動もまた、伝統工芸を未来に継承し、地域経済と文化的アイデンティティの再評価を促進しています。
彼らの信念「すべての人がデザインの担い手になれる」は、アフリカにおける職人たちの可能性を拡張するものであり、日本での展示によって、その価値が多様な観客に届けられます。
本展は、アフリカと日本の芸術文化が交差し、未来へとつながる共創の場として、注目すべき取り組みとなるでしょう。
- 記事提供元:Kuba Sugi(クバ・スギ)|Stephen Burks Man Made|PR TIMES


















