大豆農家たちが安定した収入を継続的に得られる仕組みを作りたい!そして、生まれた場所に関わらず「全ての人が公平にチャンスをつかめる社会づくり」に貢献したい!という熱い想いを胸に抱き、東アフリカのケニアをフィールドに現地をかけまわる女性起業家がいます。今話題沸騰中のAlphajiri Limited薬師川智子代表が、ケニアで起業に至る前のエピソードと現在の事業内容、今後のビジョンをご紹介します。また現在、事業拡大を目指してクラウドファンディングも実施中です!
大注目!ケニアで奮闘する若手女性企業家が起業を決意したワケ!
ケニアの現地法人”Alphajiri Limited”の代表を務める薬師川さんのルーツは、2014年に青年海外協力隊としてケニアに赴任し、不安定な収入に悩む小規模農家をサポートする活動に2年間取り組んだきたことにあります。彼女は特に、換金作物の中でも比較的栽培が簡単な大豆に焦点を絞り、農家の持続的な収入源を確保するために奮闘してきました。
そこで農家とともに暮らすなかで、彼らの自然と共存した暮らしの素晴らしさを知ったそうです。その一方で、農家の収入は収穫量や買い手の状況に左右されて安定せず、労働に対してまっとうな対価を得られていないという現実を知りました。
「農作物を一生懸命つくったのに、売り先がわからない。売れてもきちんと払ってもらえない。収入向上のために、努力しても報われない農村部のくらし。そのような現状で、小規模農家の方々はどうやって家族を養えるでしょうか。どうやって、子供たちが靴を買い、ノートを買い、勉強し、夢に向かって前進できるのでしょうか。今のケニアの農村社会は、チャンスが公平にある社会といえるでしょうか?」
薬師川さんは日本にいるときからずっと、「全ての人が公平にチャンスをつかめる社会づくりに貢献したい、そのために自分は何をすべきなのか」について考えてきたそうです。
ケニアでの協力隊経験を経て彼女がたどり着いた答えが、生産から買い取り、卸までを行うサプライチェーンの提供により、農作物流通における課題を解決する事業でした。
今まで誰も手を付けなかったこの事業を成立させ、農家が安定的・継続的に収入を得て文化的な生活を送る社会の実現に貢献したいという想いから起業を決意。2016年にAlphajiri Limitedをケニアで創業しました。
農作サプライチェーンを構築!Alphajiriの事業内容とは!?
Alphajiri Limited(アルファジリ)は農家が生産した大豆を買い取り、加工食品メーカーに卸す会社です。薬師川さんによると、ケニアの農作物サプライチェーンには次のような課題があるそうです。
まず農家側の抱える課題は、4つあります。
- 良い種を仕入れられない
- 作っても、買ってくれる人がいるか定かでない
- 地域で沢山つくっても、保存倉庫もないし、集荷できるだけの流通網がない
- 生産技術や灌漑がないので、生産が安定しない
一方で、作物を購入する加工メーカー側が抱える課題は、大きく2つです。
- 原料を仕入れたくても、農家の作った作物の品質に信頼がおけない
- 供給が不安定で、欲しい時に欲しい量が手に入らない
信頼のおける中間業者がほぼ無いため、加工メーカーは今まで品質の安定しない大豆を仕方なく仕入れていたそうです。このような状況に陥ってしまうのは、農家の課題と加工メーカーの調整役としてこれらの課題を解消して、組織化するプレーヤー(中間業者)がケニアにいないからです。
そのためAlphajiriはそのプレーヤーとして、農家への種子貸付、栽培指導、大豆の買取・選別・在庫管理、加工メーカーへの卸までの、包括的なサプライチェーンの各段階に対してサービスを提供しています。
具体的には、農家を地域ごとにグループ化して種子の配布、契約締結、栽培指導をおこないます。収穫時期には、グループの集荷場で収穫した大豆の袋を一つ一つ検品してトラックで引き取り、Alphajiriの倉庫に貯蔵します。大きなロットに仕立てられた大豆は、もう一度選別・検品を経て、加工メーカーの必要とする品質・量を確保し、必要な時期に卸されています。
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