スラムでも高級住宅街の子供と同じ教育を!

デイケア関係者のほとんどがデイケアを単なる金儲けの事業とはとらえておらず、子どもの健やかな成長を願っている。しかし、ケニアで就学前教育や保育に関する専門家としての知識を持っているものはほぼいないに等しい。

例えば子どもがのどを詰まらせた場合、適切な知識が無ければ応急手当を行うことは難しくなる。キドゴが展開するサービスは子どもの未来、さらに言えば、子どもの命に関わる場合すらあるという。

未認可のデイケアに対して適切な知識を提供する必要性を痛感しているキドゴは彼らが「ママプレナー(ママとエンタープレナーを掛け合わせた造語)」と呼ぶデイケア事業者に対して積極的に働きかけている、とエマニュエル氏は語る。

「キドゴはデイケア事業者が直面する課題、そしてデイケア事業をビジネスとして成長させる方法を理解しています。デイケアの質を高めることは子どもだけでなく、それに関わるデイケアの女性の生活を豊かにすることに繋がります」

キドゴでは学術研究を基に、脳が最も成長する生後1,000日以内のタイミングで適切な教育を行うことに力を入れている。『教育と遊び』部門長であるジャネット・ムウィティキ氏も同様に0歳児から3歳児の脳の教育開発の重要性を指摘する。クリティカル・シンキングや問題解決、創造的思考などの成長はこの時期の教育が占める割合が大きく、後の人生における基礎となるためだ。

ジャネット氏によれば、同社はそれぞれ子どもの発達状況に合わせてケアを行っており、体験学習等を通じて、キベラやマザレなどスラムの子供でも高級住宅街で暮らす子供と同じような教育を提供したいと情熱を燃やす。

「私たちは現在ベイビーケアコンソーシアムという、ナイロビのインフォ―マル地域の住民と協働している全ての団体を統括した乳幼児ケアのネットワークを展開しています。定例会議を行い、3歳児以下の教育に関する政策が子どもにどのような影響を与えているかについて議論を続けています」

インフォーマル地域におけるデイケア事業は貧しい家庭を対象にしているため、常に料金回収のリスクがつきまとう。そこでキドゴは地域住民を雇用することで支所を展開し、デイケアが子供のみならず家庭そのものを支援するコミュニティ事業として認知してもらうように働きかけている。

「私たちのビジョンを作り上げているのは地域の人々です。キドゴは地域コミュニティに重要な貢献しているを組織をチャンピオンとして選出し、他のコミュニティに対する好事例として広める工夫を行っています」

これまでほとんど手付かずであったケニアにおける子供の早期教育。キドゴは将来的に東アフリカを代表する機関になることを目指している。

「未来はこれからの子どもにかかっています。もし子供を教育する適切な構造や基盤がなければ、明るい未来を掴むチャンスが減ってしまいますから。弊社の事業を通じて、子どもの可能性をより大きなものにしたいと願っています」

  • 筆者:Rahab Gakuru
  • 翻訳:長谷川 将士

thegateway_logo


1  2

The following two tabs change content below.
長谷川 将士

長谷川 将士

株式会社グラスルーツウォーカーズ代表取締役CEO
二十歳からケニアでフィールドワークを続け、大学院時代に行った調査が共著論文として書籍に掲載されています。専門はアフリカ政治経済学(特に紛争及び市民暴力)。最近は中間層論と経済成長論に関心有り。日本のアフリカ報道と学術研究やフィールドワークから見えるアフリカ像が大きく異なることに疑問を抱き、エビデンスに基づいた現場発信型メディアを立ち上げるべく、ケニアで奮闘しています。弊社ジャーナルサイトは平日、正午に更新していますのでご一読ください。