株式会社HAKKI AFRICAは、アフリカ・ケニアにて金融サービスへのアクセスがないタクシードライバーに、独自の信用スコアリングを利用して、中古車マイクロファイナンスを提供しています。2023年12月までに、19.1億円の資金調達を完了し、アフリカの日系スタートアップの中でも注目を集めています。
今回Africa QuestのメンバーでHAKKI AFRCAのオフィスを訪問し、CEOの小林嶺司さんにインタビューしました!
HAKKI AFRICAのオフィス訪問!
ケニアの首都ナイロビに位置するHAKKI AFRICAのオフィスを訪問しました。オフィスに入ると、壁一面にはこれまでに車の融資を受けた現地の方の写真が多く飾られています!
店内に入ると、白と黄色を基調とした明るい内装で迎えられ、相談に訪れる多くのお客さんで賑わっていました。奥に進むとオフィスがあり、解放的な空間に机が並べられ、多くのケニア人スタッフと日本人スタッフが共に働いていました。
今回は、HAKKI AFRICAの創設者・CEOである、小林嶺司さんにお話を伺いました。
創設者・CEOの小林嶺司さんにインタビュー!
■ 小林さん自身について
ーー小林さんは19歳の時に渋谷でカフェバーを起業し、その後、家具のECサイト、検索エンジンの最適化(SEO)サービスなど多くの起業をされてきたそうですね。『連続起業家』という肩書きも拝見しました。
▶︎はい、売り文句で言ってみようかなと思って(笑)。
起業に失敗する理由の一つとして、起業そのものが目的化してしまうことがありますが、まさにそれが僕のケースでした。課題を解決したいという思いから始めるのが最も成功しやすいのですが、自分を社会不適合だと思っていたので、起業するしか道がなかったんです。どんな事業でも構わない、という気持ちで起業をしていました。
ただ根底には、「好きなこと×他者貢献が最大化できる部分」という考えが共通してあります。自分自身がやるべき理由があり、まずは自分が好きな部分を考える。そこに他者貢献と儲かるという軸を加える。これらが重なり合うと良いと感じますね。
今のHAKKI AFRICAはそれが偶然全てハマったなという感じがしています。
ーーこれまでの起業の数は、それだけの困難を経験してきたという証にも感じられます。連続で起業するというのは並大抵の努力や体力では成し得ないことだと思いますが、何が小林さんをそこまで強く動かしているのですか?
▶︎自分を動かし続けているのは、怒りや悔しさだと思っています。
世の中の誠実な人たちを救いたいというよりは、むしろズルをして儲かっている人・お金をくすねて生きている人が許せない、という思いが強くあります。
自分自身が真面目に誠実に頑張ってきた意識があるので、「真面目に頑張っている人たちが日の目を見ずに、ずるい人たちが得をするのは許せない」という思いが自分を一番突き動かしていますね。
だからこそ、HAKKI AFRICAでも「誠実な努力が公平に報われる世界を作る」というビジョンを掲げてやっています。
■ HAKKI AFRICAの事業について
ーー改めて事業内容や現在の事業にたどりついた背景をお伺いしてもよろしいですか?
弊社では、独自の信用スコアリングを用いて、タクシードライバー向けに中古車のファイナンスをしています。この事業を始めた背景には、信用不足により多くの人々が金融サービスにアクセスできないという、途上国全体が抱える大きな課題があります。
ケニアを例にとると、現地銀行の提供するローンの審査に通過するハードルは高く、人口の数%しかアクセスできません。また、マイクロファイナンス業者の金利は非常に高く、お金を借りることができても、その返済のためにまた借りて、と多重債務に陥るケースも多々あります。
そんな金融サービスにアクセスできない人々の中でも、特にタクシードライバーという職業はその努力が報われにくい現実にあります。
ケニアに来た当初、聞き込みを通じて彼らは車を購入したいものの、銀行の審査には通らず、高額なレンタカーを利用して仕事をしているという事実に気が付きました。
レンタル代金は2年間程度借りると車の購入代金を超える金額になります。しかし、代金を一生払い続けても車が手に入ることはありません。そのため彼らは、その日暮らしの生活からの脱却が難しい現状に立たされていました。
そこで、誠実に努力をするドライバーをどうにかこの現状から救いたいと思い、信用スコアリングシステム×ファイナンスの着想に至りました。ケニアは95%以上の国民がM-PESAというモバイルマネーを利用しているので、その履歴から日々のキャッシュフローや収入の安定性などを分析すれば、その人の信用度合いを可視化でき、その信用度合いが高い人に絞って融資を行えば、比較的低リスクで融資ができると考えたのです。
こうしてできた弊社の信用スコアリングシステムは、金融サービスにアクセスできなかったタクシードライバーにも信用を付与し、融資を可能としました。
弊社から融資を受けたドライバーはレンタカー代金と同程度の返済を約3年半続けると、車を入手することができます。完済以降は、ドライバーとして手取りの収入を上げることができたり、車を売却してそれを元手に新たにビジネスを始めることが可能になったりと、多くの選択肢を得ることができます!
完済した顧客は正に誠実な努力が報われた結果、将来の可能性をぐんと広げることができます。このような成功体験を得る顧客が増えれば、「真面目に努力をしたら報われる!」「ずるをするより努力をした方が得をする!」といった考えが周りの家族や友人から徐々に伝播し、将来的に社会までを変え得ると信じています。
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