日本政府は国連児童基金(UNICEF)と協力し、紛争の影響を受けるスーダンの子ども8万3,600人以上を対象とした大規模な教育支援を開始します。
本事業では220校の修復、教員研修、教材提供、若者主導クラブの設立など多面的な取り組みを推進し、深刻な教育危機に直面する同国で子どもたちの「学びの再開」を後押しします。
800万人以上が学校に通えていない現在の状況を受け、教育の権利を守るための緊急かつ重要な支援として注目されています。
紛争で失われた学びの回復を目指す取り組み
日本政府とUNICEFは、紛争の影響により教育環境が崩壊したスーダンで、8万3,600人以上の子どもたちを対象に「紛争の影響を受けた地域における小学校再開計画」を実施します。
本支援は7億3,500万円の資金協力に基づき、220校に及ぶ学校の修復や必要不可欠な学習教材の提供、さらに1,760人の教員への研修を行うものです。
また、ライフスキルと心理社会的支援を促進する若者主導クラブの設立も含まれており、子どもたちが安心して学びを取り戻すための多面的な支援が展開されます。
スーダンでは、紛争や避難、基本的なサービス崩壊により800万人以上の子どもたちが学校に通えていない状況にあります。損傷や略奪によって学校が機能不全に陥る一方、避難所として利用されるケースも多く、学びの場が失われています。
特に女の子や障がいのある子どもたちは深刻な影響を受けており、このままでは「失われた世代」が生まれる危険性が高まっています。
こうした危機感を背景に、本事業はスーダンにおける教育回復の重要な一歩として期待されています。
日本政府とUNICEFの協力体制と事業の意義
UNICEFスーダン事務所代表のシェルダン・イェット氏は、「本支援は、単なる学校の再建ではありません。多くを失った子どもたちに、希望と尊厳、そして機会を取り戻すための支援なのです」と述べ、日本政府および日本国民の支援の重要性を強調しています。
本事業では、JICAが開発し現地向けに最適化した教材を活用し、基礎的な計算能力を強化する試験的な取り組みも実施されます。これは教育の質の向上を目指す取り組みとして高く評価されています。
日本政府の継続的なスーダン支援は、人間の安全保障、平和構築、包摂的な開発といった第8回および第9回アフリカ開発会議(TICAD)の重要な優先領域とも一致しています。
水内健太郎 在スーダン日本国大使館臨時代理大使は、「子どもたちから教育の機会を奪うことは彼らの未来を奪うことであり、ひいてはスーダンの未来をも奪うことにつながります」と述べ、本事業が悲劇を回避し、教育へのアクセス改善に貢献することへの期待を語りました。
こうした関係者の声明からも、国際社会における日本の役割と責任が明確に示されています。
スーダンの教育再建に向けた長期的展望
本事業は、スーダンの移行期教育計画(2025-2027年)の枠組みの中で推進され、人道支援と開発支援の連携を強化する重要なステップと位置づけられています。
紛争が続く同国では、教育インフラの損壊、教員不足、心理的ストレスなど課題が複雑に絡み合っており、単発の緊急支援では対応しきれない深刻な構造問題が存在します。
今回の計画では、学校修復や教材提供だけでなく、心理社会的支援や若者主体の活動を支えることで、子どもたちの心身の回復と学習意欲の向上を同時に目指しています。
また、JICA教材の活用という新たな試みは、今後の教育の質向上にも寄与し得る要素です。
UNICEF東京事務所は、日本政府、JICA、NGO、国会議員などとの連携を通じて、ODA資金協力の円滑な実施と政策対話を推進しており、本事業もその一環です。UNICEFは190以上の国と地域で活動しており、最も困難な状況にある子どもたちを優先的に支援しています。
今回のスーダンでの教育再建支援は、国際社会が連携して子どもの権利を守る取り組みであり、長期的な平和と安定に向けた基盤づくりにつながるものです。日本政府と国民の継続的な支援に対し、UNICEFは深い感謝を表明しています。
- 記事提供元:日本政府、紛争の影響を受ける8万人以上の子どもたちのため、スーダンの学校再開を支援|PR TIMES















