アフリカで語り継がれるスピリチュアリティ。アフリカ人の世界観は自然と先祖と繋がっている。
今回は私の住む南アフリカのトランスカイに伝わるスピリチュアリティと、私がトランスカイから日本にお届けしている「アフリカ天然香“ンペポ”」の紹介をさせていただきます。
南アフリカ トランスカイに伝わる スピリチュアルな世界
アフリカ人は目に見えない力や、魔法、先祖などのスピリチュアルな世界を信じている人が多い。ここ南アフリカのトランスカイに住んでいるアフリカ人ももちろん例外ではない。キリスト教が布教されて、そういった考え方は少しずつなくなりつつあるが、日常的に魔女の話や、呪いの話、小人の話などを聞くことがある。
誰か人が死ぬと「あれは呪いだったのだ」などという噂が立つことはよくあり、そういった社会で育っていない私には信じ難い。いや、信じてしまうと怖いので、信じたくないというのが本音かもしれない。
コサ族のシャーマンは“サンゴーマ”と呼ばれ、彼らはある日、夢でお告げを受けサンゴーマになるという。先祖代々サンゴーマの家庭もあれば、それまで普通のサラリーマンだった人がサンゴーマになったりもするそうだ。
私の暮らすウムタタの街中を歩いていてもサンゴーマを見かける。サンゴーマは白いビーズのアクセサリーを着けていたり、動物の皮を体に着けていたり、顔を白く塗ったりしているのでわかりやすい。
サンゴーマは霊界を見ることができるので、呪いを解いたり、また呪ったり、先祖の声を聞いたりできる。
サンゴーマとは別に“ニャンガ”と呼ばれるのは伝統的な薬剤師。日本でいう漢方医のような感じかもしれない。
photo by Stovin
夫の祖父がニャンガだったそうで、彼の暮らす村の近くにある森に行っては、薬草を採り、村人の病気を治していたという。夫は子供の頃、祖父に連れられて森に薬草摘みに行っていた。今でも夫は伝統的な薬草を使うことが多い。
そして最後に“魔女”というのが存在する。トランスカイで言う魔女はとてもネガティブな意味であり、魔女は呪いをかけ、人に悪さをすると信じられている。時には殺人に発展することもあり、警察が立ち入れないスピリチュアルな世界が繰り広げられている。
村でも誰が魔女かというのは確信できないが、だいたいわかっているそう。魔女の娘は魔女になるという。トコローチと呼ばれる小人が家に出てきて悪さをするというのもよく聞く話だ。
南アフリカの先住民に伝わる伝統薬草
私の住む南アフリカのトランスカイ地方に西洋医学が入ってきたのは最近のようだ。それ以前はサンゴーマや、ニャンガが薬草を使い病気を治していた。トランスカイでは今も多くの人が伝統薬草を使っている。
また西洋医学のように目が悪いと眼科、皮膚が悪いと皮膚科などに分けられておらず、漢方のように全体を診る。サンゴーマになると、先祖からのメッセージ、または誰かの恨みをお祓いしたりなど、スピリチュアルな部分も多い。
これは南アフリカに限らず、アフリカ全土に言えることだと思うのだが、アフリカ人はとてもスピリチュアルな民族である。先祖、自然、自分がしっかりと繋がっているのだ。
しかしアフリカ人に限らず、私たちの命は長い長い歴史の中、繋ぎ継がれて生まれてきた。それは人間の神秘であり、そこに意味があるというふうに考えるのは不思議なことではない。そして私たちは自然なくしては生きていけない。それはいくら科学技術が発展したとしても、変えることのできない事実だ。その中で生かされている私たちの命。アフリカ人の哲学は、人間の根本とも言えるのではないだろうか。
それは八百万の神を信じていた日本人の心に少し似ているかもしれない。
南アフリカに伝わる伝統薬草は、今もここに住む先住民をその土地と繋げ、人々を癒しているのだ。