首都ナイロビから南東460kmに位置し、人口66万人を擁するケニア第二の都市モンバサ。この町にあるモンバサ港では、東アフリカ最大の貿易港から世界最大級の港へと、アフリカでも類を見ない速さで開発が進んでいます。
本記事では、日本の支援で行われているモンバサ港開発について紹介します。
世界で最も伸びしろのある港、モンバサ港!
モンバサ港はケニア第二の都市モンバサにある港で、複雑で水深の深い入り江のさらに奥に位置しているため、穏やかで荒れることがない天然の良港となっています。
インド洋に面していることで、中東やヨーロッパ、インドや東南アジアとの貿易や、南アフリカや紅海からの貿易中継地点として非常に立地がよく、隣接する港を持たない内陸国の玄関口の役割をも担うなど、重要な貨物輸送・中継地点としてケニア唯一かつ東アフリカ最大の国際貿易拠点として機能しています。
コンテナ貨物の取扱量は2006年から2019年の間で48万TEU 1)から140万TEU 2)まで拡大しており、2025年には260万TEUを超える需要が見込まれています 3)。
これは現在の大阪港を上回るものであり、貿易拠点としての重要性を感じられる数字と言えるでしょう。
現在モンバサ港では、コンテナ貨物や液体貨物、バルク貨物を扱う埠頭が整備され、首都ナイロビを始めとした国内のみならず、ウガンダ、南スーダン、タンザニアといった周辺国やさらに奥に位置するコンゴ、ルワンダ、ブルンジといった内陸国の輸出入拠点として国際貨物を取り扱っています。
中でも内陸国ウガンダにとってモンバサ港は最大の輸出入拠点となっており、このウガンダとの関係はモンバサ港開発においても非常に重要な意味合いを持つものとなっています。
「必要条件」が揃わない…アフリカ第二の貿易港に山積する課題
モンバサ港は重要な貿易拠点でありながら、問題が山積みとなっています。
近隣国への国際貨物も取り扱っているというのは前述の通りですが、数年間のうちにコンテナ需要が数倍に増大したため貨物総量が港の処理能力を上回り、コンテナが山積みになるなど恒常的なヤードの混雑と泊地の滞船が発生している状況です。
また、開発前のモンバサ港では、通関業務が近代化されておらず荷揚げまでに1ヶ月かかる場合があり、コンテナを本船から降ろしたとしても、置き場が見つからず本船に戻すことすらある状況でした。
さらに周辺道路や鉄道とのアクセスにも大きな問題を抱えており、目的地到着まで1ヶ月を要することは珍しくない状況にありました。
ウガンダの輸出入の大部分はモンバサ港を経由して行われていますが、開発前のモンバサからカンパラ間の輸送に要する時間と費用は、ロンドンからモンバサ間の同じコンテナ貨物輸送の2倍かかりました。
その大きな運輸コストからウガンダ国内の物価が安定しないという問題も引き起こしています。
現在のところコンテナ輸送手段として利用されている主な交通インフラが、道路が71%、鉄道が8%となっており 5) 、トラック輸送のための特に首都ナイロビ周辺の道路網は比較的整備が進んでいますが、ターミナルの出入り口ゲートや周辺道路のコンテナ車両の滞留が著しいことや、毎年10%以上の自動車が増加していることから車の渋滞が悪化の一途を辿っていてスムーズな輸送が実現できていません。
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