三本柱で目指せ「アフリカの玄関口」!開発が進むモンバサ港のポテンシャルを大解剖!

3つ目の「柱」:経済特区開発(モンバサ経済特区開発マスタープラン)

現在モンバサにはいくつかの輸出加工区(EPZ)と工業団地がありますが、その多くはすでに縫製工場が入居しており、新たな投資を呼び込むためにも新たな特区開発が必要とされています。

そこでモンバサ港を中心とした発展を見越して、モンバサ港の対岸のドンゴ・クンドゥ地域を自由貿易港に指定し、工業団地やICT産業集積地区を合わせた経済特区を開発する計画が進んでおり、石油・石炭・LNGといったエネルギー関連施設の建設も予定されています。

ケニアは日本を開発パートナーと位置づけ、経済特区開発の土台として、電力、上下水道、通信、港湾、交通などといった基本的なインフラ設備から、産業人材の育成、投資環境の構築、税制優遇措置整備の協力、通関業務支援など幅広い援助を行う計画を検討しています。

現在は、モンバサ経済特区が開発される予定のモンバサ南部地域へのバイバス道路建設やモンバサゲートタワーブリッジの建設が進められています。

現在あるものも含めてEPZは発展中であるものの、発展を阻害する可能性がありながら短期的に解決することができないものとして、公務員の汚職や不正の横行、貧困による購買力の低下、HIVの拡大と社会的影響、世界的気候変動による一次産業への影響などが懸念として示されています。

これらが反映された形で労働条件の悪化や低賃金化が発生し、EPZ事態の抱える問題として技術水準が低迷し単純労働に特化しつつあり 、産業の近代化を阻害してしまっています。

モンバサ港開発のその先は

ケニア国内のインフラ整備に伴って物流が活発になり、モノが動くようになった結果どのようなビジネスが生まれていくかが重要であり、産業振興策も求められます。

ケニアやウガンダにはコーヒーといった食品類や、原油や鉱物資源といった今後輸出品目として期待できる産品が豊かで、現在輸入頼りの食料品も自給可能な潜在力を有しています。

またモンバサ港周辺には美しいサンゴ礁があり、かつてスペイン王フェリペ2世の命によって建設されたジーザス要塞はUSESCO世界遺産に登録されていて、既に近くに国際空港があることなどからもリゾート・観光地として大いに可能性も秘めています。

港湾整備とともに、地域の物流網整備とインフラ整備の目標が達成されれば、ケニアや近隣国家の成長を阻害していたボトルネックが解消され、経済特区の開発や地域産業の育成によりモンバサはもちろんケニア全体も共に成長の勢いが増していき、地域産業の育成により貧困や飢餓が解消されていけば都市部と地方との格差も徐々に小さくなっていくと考えられます。

そういう意味でモンバサ港開発とその周辺事業は非常に重要な意義を持ち、大きな希望を秘めている事業と言えるはずです。これらの開発もこれからの持続可能な経済発展のためにも日本の技術や知恵が求められると考えられます。

多くの問題はこれからもまだ残り続けるかと思われますが、現在行われている開発が諸問題の緒になり、地域産業の育成と民間投資が促進され、最後には東アフリカの玄関口からアフリカの玄関口へと発展することを期待したいと思います。

伸びしろのあるモンバサ港開発に今後も目が離せません。


  • Photo credit – stock.adobe.com
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【出典・引用元】

  1. モンバサ港開発事業 事前事業評価表 要約版、JICA
  2. Mombasa port surpasses target to post 1.4m TEUs in 2019、Nation
  3. ニュースリリース「ケニア共和国向け「モンバサ港開発事業フェーズ2」円借款契約の調印 」、JICA
  4. https://www.kpa.co.ke/AboutUs/Pages/KPA-History-Introduction.aspx
  5. アフリカ地域北部回廊 物流整備マスタープラン策定支援プロジェクト アフリカ回廊開発戦略的マスタープラン説明会資料、JICAコンサルタントチーム
  6. モンバサ港開発事業 事前事業評価表 要約版、JICA
  7. モンバサ港開発事業(フェーズ2)事前事業評価表 要約版、JICA  
  8. アフリカ地域 北部回廊物流網整備マスタープラン策定支援プロジェクト ファイナルレポート 和文要約、JICA 

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